kbt1235's diary

2児の子育て、時々クライミング、登山、キャンプ。

屏風岩・雲稜ルート

涸沢へ向う途中にこの屏風岩が見える。まだ山登りしかしていないころ、
絶壁を登っている人がいるのをみて、感激したものである。
そういうわけで、ずっと登ってみたかった屏風岩。
そして、tamaさんも過去2度行っているが、いろいろあって一度もトップアウトしていないらしい。

どうせ行くなら雲稜だけではもったいので、1日休みをとって雲稜、東稜の2本を
やろうと目論む。木曜夜発、沢渡上の駐車場で車中泊

5時台のバスに乗り上高地へ。6:10頃上高地バスTを出発。金曜だけどかなりの人。
天気はどんより曇り。これから晴れてくるのだろうか。
9:00頃、横尾着。山ガールを横目に屏風岩へ出発。


 
岩小屋で河原に下りて、渡渉。流れの弱そうなところを狙っていく。
ズボンを脱ぎ、はだしで突入するも、水が冷たすぎて固まる。くつを履けよ。

明瞭な1ルンゼのガレをひたすら詰める。
次第に屏風岩の全体が見えてくる。1時間ちょっとでT4尾根取付きへ。

11:40頃登攀開始。

【T4尾根 1P目 4級】 ジュニア
アプローチといえども侮れない。出だしが悪い。岩が濡れている。
ちょっと被ったクラック手前に終了点ありでピッチをきる。

【T4尾根 2P目 5級-】 tama
かぶったクラックから始まる。その後、トラバース、濡れてるフェース。

【T4尾根3〜5P目】 ジュニア、tama
簡単なルンゼを登り、T4へ。ここはコンテでよかった気がする。

不要なものをT4にデポ。
この日、雲稜、東稜それぞれ1パーティーずつ。

【雲稜ルート 1P目 5級】 tama
コーナークラックを登っていく。ほぼいっぱいまで伸ばして、ピナクルテラス手前まで。
中間地点がかなり濡れていて、しかも厳しいムーブがあり、難儀する。

【雲稜ルート 2P目 5級+】 ジュニア
右上のピナクルを目指せばいいのだが、フェースが細かくて、ラインがわからず。
ランジすればガバが掴めるのだが、リングなのであまり無理して突っ込む気になれず、
結局A0してフェースを右上。
途中、リングのなくなったボルトのみでトラバースする個所がある。
マイクロストッパーをボルトの穴に通してプロテクションをとる。
なんとか越えてピナクルへ。その後、左上して扇状テラスへ。

【雲稜ルート 3P目 A1(5.11+)】 tama
ボルトラダーであぶみのかけかえ。フリーでは5.11+のスラブピッチ。
フォローであわよくばフリーでと思っていたのだが、濡れていてアブミ決定。
まぁ、こんなところで11+のスラブなんて、そもそも無理。
細いスリングに全体重を乗せる作業は、生きた心地がしない。
ハングの手前まで行ってピッチを切る。だんだんと暗くなってきた。


 
【雲稜ルート 4P目 5級+、A1】 ジュニア
ヘッドランプを装着。
出だしのデカフレークを思いっきり掴もうとしたら、抜けそうな歯みたいにグラグラ。
危ない。右から回り込んで、アブミを使いながらハングまで。
そこからフリーで右へトラバース。右上の終了点ぽいところまで。
みるみるうちに暗くなってくる。
tamaさんが到着するころには真っ暗に。

この真っ暗な状態で5級+は無理と判断。ビバークすることに。
右上のテラスへ移動。2人がぎりぎり座って過ごせるくらいのスペースがある。
もともと上でビバークする予定だったので、お泊りセットは持ってきていた。

壁の途中でビバークするというのは初めてだったので、実はわくわくしていた。
が、次第にそんなこと言ってられない状況に。
天気予報では30%の曇りと聞いていたのだが、小雨が降り始め、
夜が更けていくにつれて、雨脚が強くなる。そして大雨・・・。やられた。
だんだん水が沁みてきて、しかも体勢もあまりよくなく、
ほとんど眠れず、朝を迎える。


 
4〜5時頃、だんだん明るくなってきたが、相変わらずガスの中。
真っ白で何も見えない。雨が止む気配は全くない。
晴れていれば、そのまま上に抜けようと思っていたのだが、
壁が滝になっており、敗退決定。
先行パーティーの笛の音が遠くかすかに聞こえてきた。彼らもビバークしたのだろうか。
お疲れさまです。

3回懸垂でT4へ。ルンゼ状のところは雨が集中する。
途中のビレイ点がちょうどルンゼ状になっており、
バケツをひっくり返したような勢いの滝に打たれる。
もはや修行。

T4へ到着し、とりあえず危険地帯を脱出。本気で死ぬかと思った。
デポしたものを回収し、T4尾根を降りる。5回でT4尾根取付きへ。
1ルンゼを登ってくるパーティーがいたが、引き返していった。

大雨のせいで川が増水。tamaさんがロープを出してくれ、なんとか渡る。
自分だけだったら流されてた。最後の難所も越え、登山者に混じり、横尾へ。
雨の中、ビールで乾杯。
疲れた体に染み渡る。生きてるって素晴らしい。