kbt1235's diary

2児の子育て、時々クライミング、登山、キャンプ。

摩天岩・陽炎ルート

夏でも涼しいという不動沢の摩天岩へ行ってきた。
屏風岩を通り過ぎ、不動滝を越えたさらにその奥にある秘境。
アプローチが長いしトポもあまり流通していないので、訪れる人は少ないが、
日本最難のワイドクラックである不動の拳(12b)をはじめとする、ワイドクラッカー垂涎ものの
クラックがごろごろしている、まさにワイドクラックの宝庫なのだ。

電光クラック(5.9、5.7)

まずは電光クラックでアップ。
2PともOWで、それぞれ30mくらい。
1P目は外に結構スタンスとかホールドがあるので、割と登りやすい。
2P目は#6も決められないくらいのサイズのチムニーがあり、ランナウトする。
カムはC4#0.5〜#2 x 1、#4〜#5 x2、#6 x1。
60mシングル1本、2回で取りつきまで懸垂。


電光クラック 1P目


電光クラック 2P目

陽炎ルート(10c、10a)

1P目は10cのフレアードチムニー。見た目は芸術作品かと思うほど美しい。
"フレアードチムニー"という名前を聞くだけでも身の毛もよだつのだが、
ワイドの10cというグレードがついていて、さらに恐ろしさが増す。
登れるというイメージが全く湧かず、登る前からやめたいとぼやいていた。


陽炎ルート 1P目

フレアーしてはいるものの、奥の方に#2以上のカムが決まる。
ちなみに左面にリングボルトが打たれているが使わなかった。
チムニーは最初広いが徐々に狭まってくるので、ヘルメットがつっかえて登りにくい。
左上にかかりのよさそうなリップが見えたので恐る恐る手を伸ばしてみたものの、
スローパーだとわかって愕然とする。
それでも両手でスローパーを持って足ブラに耐え、小レッジにマントリング。
荒くなった呼吸を整えるのに、かなり長い時間レストした。
恐らく抜け口が核心、第一の。

取り付きからはこのフレアーしたチムニーばかりが目につくのだが、
陽炎ルート1P目はまだこれで終わりではなく、上部にはそれまで登ってきたのと同じくらい長い
10a程度のOWが待ち構えているのであった。
出だしはスタンスとかホールドがたくさんあって登りやすいのだが、
例によってだんだん広がってきてスタンスも乏しくなる。
何度もずり落ちそうになるのを耐え、息も絶え絶えでレッジへ。
あと2mの簡単なセクションも、息を整えなければこなすことはできなかった。

せっかくなので2P目もトライしてみることに。
10aのOWで40mくらい。下からみるとなんだか悪そう。
ワイドの終盤は#6も決まらないくらい広がってきて悪い。


陽炎ルート 2P目

トポでは途中のクラックから右に行き、立ち木でビレーするようにみえる。
ざれざれのスローパーでやっとの思いでマントリングし、レッジに上がってみると、
なんとも心もとないちっさい木が生えているだけで、とてもビレイ点にはなりそうもない。
もちろんボルトもない。
仕方がないので一旦クライムダウンして、左のクラックを上がる。
薄いフレークは壊れそうで怖い。ほとんどプロテクションはとれない。
立ち木でビレイ。

60mシングル1本だったので、1P目の終了点までは戻れず。
途中の怪しい立ち木で懸垂し、蜃気楼ルートの終了点へ。
そこから1回で取りつきへ。
カムはC4#0.4までx1、#0.5〜#2 x2、#3〜#5 x1。
C4#4は2個あると心強い。

時間があれば、隣の蜃気楼ルートでもやろうと思ったけど、
陽炎ルートでもうお腹一杯。他のルートをやる気力などもうなかった。

陽炎ルートは10cというグレードだけど、同じ10cのワイドである
小川山のはさみ虫やばんざいジャムと比べてみると、雲泥の差を感じる。
しかし、見た目もかっこよく、長く、登りごたえ十分で内容も素晴らしい。
これは間違いなく三ツ星のワイドクラック。
もっとトライされるべきクラックだと思う。