kbt1235's diary

2児の子育て、時々クライミング、登山、キャンプ。

エクセレントパワー RP

土曜日にスーパーイムジンをRPしたばかりだったが、やはり気分は重い。
あまりにも核心ができず、いい加減嫌気がさしてきていたので気持ちは常に後ろ向き。
曇り空で、日が当たらず昼間でもダウンを着ていても寒いくらいだった。
コンディションとしては最高だったのかもしれない。

11時頃、遅めの1便目を出す。
いつもと同じようにシルクの縦核心で落ちた。

2便目も全く同じところで落ちる。
もうやめて帰りたかった。

15時過ぎに3便目。
回収のことばかりを考えていて、気分は暗くなるばかり。

ほぼ決まったムーブで淡々と下部をこなし、縦核心の手前でレストする。
ふと、昨日のスーパーイムジンのRPを思い出す。
足りないのは気合だったなと思い、核心で叫んでみるにした。

身体に染み込んだ核心ムーブ。
左足でスメアリング、3段目まで右足を上げて、中継ホールドをつかみ、
そして、叫びながらキーホールドへデッド。
なんと、止まった。

慎重に左足を上げ、ガバを掴みクリップする。
ふー、呼吸を1つ整えてすぐにトラバースを始める。

もう絶対に落ちるわけにはいかない。
いつも通りやればできると、何度も自分に言い聞かせる。
ロッキーとシルクの繋ぎパートを越え、ロッキーロードの最初の核心へ。
前回はここで落とされたが、今回はあっさりと抜けられた。
ダイクでパンプした腕を休ませ、荒くなった呼吸を整える。
あまり長時間いると足が疲れてくるので、長居はできない。

ここから先、最近のトライでは落ちたことはないけど、
クラックからダイクへの乗り移り、ノーハンドトラバース、最後のスラブと全く気が抜けない。
最後の大レストポイントではこれでもかというくらい休む。
パンプした腕は完全に回復することはなかったが、覚悟を決めて行くことにする。

最終ボルトにクリップして、体を切りかえし、右手でスローパーを掴むと、
スメアリングしてダイクへ乗り込んだ。
そして、そのまま一気にマラ岩のてっぺんまで駆け上がった。

やった、終わった。

叫んだ。
そして、マラ岩のてっぺんにへなりと座りこんだ。
一息ついて後ろを振り返り、日の沈みかけた遠くにみえる稜線を眺める。
紅葉は始まったばかりだったが、朝よりも鮮やかにみえた。
本当に終わったんだなと思った、ほっとした。
涙がちょっとでた。

とにかくシルクロードの縦核心に悩まされ続けた。
結局、今シーズン26便出して、下からシルクの縦核心がつながったのはたったの2回。
その2回目がRP便となった。

あまりにできなくて、何度もやめようと思った。
ロッキーとシルクは先シーズンにRPしているので、
ムーブの新しさは全くなく、繋げるだけのルートをトライし続けることに
意味があるのだろうかと思い悩んでもいた。
でも、エクセレントパワーを完登してみて、
これが1本のラインであることに改めて気付かされたし、
マラ岩の下から上までの40mを登りきることにこそ意味があるのだと思った。
40〜50分という長い間、如何に集中力を切らさないで登るか、
精神的な強さを試されるルートだと思う。

日本初の13a、そして私自身初めての13aとなった。
13を登ることを1つの大きな目標にしてきたので、
達成できてうれしいのだけど、それ以上に目標を失った喪失感の方が大きい。

とりあえず、しばらくはグレードは追い求めずに、
よきルートをたくさん登りたいな。

シルクロードの縦核心について

私の身長は165cmで、よくやられている一般的なムーブではキーホールドには僅かに届かない。
右足は3段あるうちの最上段まで上げ、
右手で一旦ゴミホールドを中継してからキーホールドにデッドするというムーブにした。
先シーズンにシルクロードをRPしたときは、右手で中継してから左足を上げるという
超絶ムーブをしたが、今年はやってもできなかった。
できるかもしれないが指皮の消耗が激しすぎて却下。
私よりも身長の低い人では、そのムーブを強いられるかもしれない。

シルクの縦核心はコンディション次第という気がする。
気温が下がった1週間くらい前から、フリクションが明らかによくなり、
登りやすくなった。強い人はコンディションに左右されないのかもしれないが、
自分にとっては夏は全くできる気がしなかった。

ギアについて

ロッキーのクラックでは#0.75を使っていたが、落ちることはないと思い、
カムは持っていかなかった。多少ランナウト。かわりに60cmのスリングを使用。
シルクロードのトラバースの2本には、60cmスリングとリボルバーを使用。